「食べ物」の絵本でことばの育ちの土台をつくろう
・言葉の数がなかなか増えない
・「おいしい」「かたい」などの表現が少ない
そんな様子が気になっていませんか?
わたしは長年、言語聴覚士として、子どもたちに、ことばの支援を行ってきました。これまでも、言語訓練のときには「食べ物」の本を使うことが多かったです。子どもにとって身近なものを使うと、食いついてくれることが多いからです。
食べ物の絵本は、単に名前を覚えるためのものではありません。音や動き、感覚といった情報と結びつきながら、ことばの理解を広げていくための土台になります。
今回は「食べ物」の本を紹介します。なぜ「食べ物」の絵本がよいのか説明していきます。
「食べ物」の本が良い理由
「食べ物」絵本には、野菜などの名前以外にも、様々な表現が登場します。
・名詞(りんご)+動詞(食べる)
・擬音語(もぐもぐ)
・感覚語(あまい・かたい)
食べ物の絵本で発音が良くなる、ということはありません。そうではなくて、
・音のリズムや繰り返しに親しむ経験につながること、
・語彙の広がりの土台になること
が、昔から「食べ物」の絵本が愛される理由なのではないでしょうか。
絵本の読み方
絵本は読むだけでなく、関わり方も大切です。
・「どんな味かな?」と聞いてみる
・「もぐもぐ」と一緒に言う
・子どもの反応を待つ
こうした関わりで、ことばの理解が深まりやすくなります。ことばを喋るには、まずは理解することが前提となるのです。うまく絵本を使うことで、まずは子どもの興味を引いてみてください。
「食べ物」の絵本で何が育つのか?
食べ物に関する絵本には、
「りんご」「パン」などの名詞だけでなく、
「たべる」「かむ」といった動詞や、
「もぐもぐ」「サクサク」といった擬音語が多く含まれています。
これらは音のリズムや繰り返しを伴うため、ことばの音に親しむ経験や、語彙の広がりの土台につながるのです。
① 身近でイメージしやすい
食べ物は毎日の生活の中で何度も経験するものです。
そのため、言葉を聞いたときに実際のイメージと結びつけやすく、言葉の意味を理解する助けになります。
絵本で見知ったことは、実際に「食べる」という経験を通して身についていきます。それが「食べ物」がテーマの絵本のメリットなのです。
② いろいろな種類の言葉が出てくる
食べ物の絵本には、
・名詞(りんご、パン)
・動詞(食べる、かむ)
・様子を表す言葉(やわらかい、あまい)
また、子どもは、言葉を覚えるときに「まとまり」として語彙を学んでいきます。「まとまり」とは、食べ物、野菜、果物、などの「カテゴリー」「種類」のことです。無数にある単語たちを、仲間ごとに分類することで、頭に入りやすくなるのです。
③ 音のリズムに親しむことができる
「もぐもぐ」「サクサク」といった言葉は、音のリズムや繰り返しが特徴です。
こうした言葉に触れることで、ことばの音に自然と親しむ経験につながります。
これは、日本語の音を学ぶ時の助けになります。特に幼児期はリズムや反復で育つといわれていて、文字の読み書きをするための土台となる力ということができます。
④ 感覚と言葉が結びつく
食べ物は、
・味(あまい、すっぱい)
・かたさ(やわらかい、かたい)
といった感覚と強く結びついています。
これらを言葉で表す経験を重ねることで、感じたことを言葉にする力が育っていきます。
まずはこの3冊を読んでみよう
「食べ物」の絵本はたくさんあります。本を選ぶときには、次のポイントをおさえておくと外れが少なくなります。
・繰り返しがある本
・擬音語が多い本
・食感表現がある本
迷ったら、まずはこの3冊を試してみてください。
| 絵本 | 対象年齢 | おすすめポイント |
|---|---|---|
| おいしいおと | 3歳ごろ〜 | 音(擬音)から興味を引き、ことばの音に自然と親しめる |
| はんぶんこ | 0歳ごろ〜 | リズムとテンポが良く、ことばの繰り返しを楽しめる |
| とんかつのぼうけん | 3歳ごろ〜 | ストーリー性とテンポの良さで、やりとりや理解を促しやすい |
どの絵本を選べばいいか迷った場合は、まずは繰り返しが多く、シンプルなものから始めてみてください。「音」が入っている本は子どもに届きます。それでも迷ったら、まずは『はんぶんこ (0.1.2.えほん)』をオススメします。
1冊を繰り返し読むことが、ことばの理解につながっていきます。
おいしいおと
リアルなイラストに引き込まれます。どこか温かくて、美味しそう。「カル、カル、カル」など、音の表現も、ほかの本では聞かないようなものばかりです。
【対象年齢:3歳~】
はんぶんこ
ドーナツや肉まんなど、美味しそうなごちそうを「はんぶんこ」と分けていく。その様子が描かれた本です。「はんぶんこ」という、ことばの楽しさが、大人とのやり取りにつながります。
【対象年齢:0歳~】
とんかつのぼうけん
かつ丼になりたくないトンカツがお店から逃げ出します。様々な料理に憧れますが・・・。ユーモアあふれるイラストとストーリーで子どもたちを魅了します。
【対象年齢:3歳~】
その他オススメ本の紹介
オススメの絵本やシリーズを紹介します。
おいしいともだち
擬人化された食べものたちが「しんぱいごむよう!」と明るく出迎えてくれる人気シリーズです。
▶ 【○○くんがね】とよたかずひこ「おいしいともだち」シリーズ【しんぱいごむよう】
お寿司
みんな大好きお寿司の絵本&児童書を紹介します。意外と図鑑が多いテーマです。
カレー
日本の国民食ともいえるカレーライス。カレーがテーマになっている本はたくさんあります。
豆
小豆や大豆、そらまめなど。豆が主役の本を紹介します。今回は、節分以外の「豆」の本を中心に選んでみました。
▶ 「豆」がたくさん出てくる絵本&児童書。小豆、大豆、ソラマメなどなど
お菓子
『ルルとララ』
お菓子屋さんで働く、二人の女の子、ルルとララ。彼女たちがお客さんのために様々なお菓子を作っていくお話し。小学生に大人気シリーズです。かわいらしいレシピもついています。
▶ お菓子が作りたくなる本『ルルとララ』3つのシリーズを紹介
食べものオバケ
お化けが擬人化?というか妖怪化された本たちを紹介します。怖いものから楽しいものまで、たくさんあります。
まとめとして
今回は、「食べ物」がテーマの絵本は、こどもにとって何がメリットなのか?というお話をしました。
食べ物の絵本は、
・言葉とイメージを結びつける
・さまざまな種類の言葉に触れる
・音や感覚と言葉をつなげる
といった経験を通して、語彙や言葉の理解の土台を作るものです。
まずは1冊だけで大丈夫です。
同じ絵本を繰り返し読むことが、ことばの理解を深める一番の近道になります。
気になったものから、ぜひ手に取ってみてください。

